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サイバネ義体は贅沢品か?「人体拡張税」増税案に市民団体が猛反発

2026年01月14日 11:55
陽ノ元政府は本日、身体拡張を目的としたサイバネティクス部品に対する「人体拡張税(義体税)」の増税案を正式に発表した。少子化に伴う社会保障費の増大を補うための財源確保が目的とされるが、「進化の機会を金銭で制限するものだ」として、市民団体やトランスヒューマニズム推進派から猛烈な反発が巻き起こっている。
身体拡張は、国家の生存戦略である
周知の通り、陽ノ元における人体機能の拡張技術は、個人の欲望から生まれたものではない。それは、深刻化する少子化問題に対し、国の生産力を維持するための「国家戦略」として推進されてきた。科学技術の力で人々の健康寿命を大幅に引き伸ばし、労働可能な人口を補完することが、トランスヒューマニズム研究の最大の目的だったのだ。
「もはや高機能義体は、生活必需品ではなく、高所得者層が優位性を確立するための贅沢品だ」—。政府の増税に関する諮問機関は、今回の増税の背景をそう説明する。政府が集積したデータ分析によれば、高機能義体の所有者ほど生産性が高く、結果として富が集中する傾向にあるという。政府はこの分析結果に基づき、増税によって財源を確保し、その税収を低所得層の生活支援に充てる「再分配」のモデルを描いている。

「Simon-ID」による予測格差の固定化

しかし、市民団体「人類進化のための連合」は強く反発している。彼らは東公都の議事堂前で、「技術はすべての陽ノ元国民の権利だ!」と声を上げた。
代表の立花氏は、「政府は、まるでSimon-IDに刻まれた予測通りに、貧富の差を固定化しようとしている。低所得層にとって、身体の拡張は唯一の逆転の機会であるにもかかわらず、高額な税金をかけることは、その機会を奪う行為だ。これは単なる増税ではなく、『予測格差』の法的固定化に他ならない」と強く非難した。
また、サイバー・アスレティクスなどのプロ選手からも、「税金が増えれば、高性能なアップグレードが不可能になり、競技の発展が止まる」との懸念が表明されている。

国を悩ませる財源と倫理のジレンマ

政府は、少子化で税収が減少する中、この増税が「社会保障という名の船を沈没させないための、苦渋の決断」だと国民に理解を求めている。しかし、機能拡張が当たり前になった2112年の陽ノ元において、「人間の進化」に税金をかけるという行為は、国民の持つ「サイバーコンソーシアム」思想とも真っ向から対立する。
増税案は、まもなく国会の最重要議題として審議される予定だ。政府の最高判断として提示されたこの政策は、国民の賛同を得られるのか、陽ノ元の未来を左右する大きな分岐点となっている。