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アンティーク家具に潜む「潜伏拡張者」を摘発

2026年01月14日 15:50
Simon-IDによる究極の監視体制下で、前代未聞の潜伏犯罪が発覚した。東公都中央制御区の富裕層宅で、購入されたアンティーク家具の中に、改造された人間が潜み住み着いていたという事件だ。

監視を逃れた「骨董義体」の恐怖

逮捕されたのは、違法な自己改造を繰り返していた「潜伏拡張者」の職人、タチバナ・ハク氏(72歳)。彼は、廃墟時代に作られたアンティークの「黒革椅子」の内部に、自身の肉体と義体を極限まで圧縮・変形させて潜伏していた。
潜伏の仕組み:
タチバナ氏は、蔵狩義工国式会社が認可していない極度の身体拡張技術を用いて、自身の身体を「椅子」の構造と一体化。微細な生命維持装置を搭載し、Simon-IDに登録されていない未認可の義体ヱネルギーで動作させていた。
AI監視の盲点:
このアンティーク家具は、Simon-IDと連携する動態家具とは異なり、個人間のオークションを通じて取引されていた。AIサイモンの監視は、「最新のデジタルデータ」と「活動中のSimon-ID」に集中するため、「古い、動かない、アナログな物体」は監視の網の穴となっていたのだ。

動機は「ゴーストの生体観察」

タチバナ氏は、警察の取り調べに対し、驚くべき動機を供述している。
彼は、情報乖離症候群の発症に恐怖し、「Simon-IDに数値化されない、**人間の生身のゴースト(魂)**の揺らぎを間近で観察したかった」と述べている。
異常な執着:
タチバナ氏が潜んでいた黒革椅子は、被害者である富裕層の書斎に置かれ、リンクレットの摂取や、家族のSimon-IDの認証時など、最もプライベートな瞬間に使用されていた。タチバナ氏は、この椅子を通じて被害者の**「数値化されない生きた感情」**を収集していたと見られている。
今回の事件は、「AIによる管理が及ばない、アナログな空間」に潜む人間的な異常な執着と、Simon-IDの監視下にある国民の潜在的な恐怖を浮き彫りにした。天候生活院は、アンティーク家具や廃墟時代の製品に対し、緊急で「Simon-ID認証外物体スキャン」を推奨する異例の声明を出した。